2012年1月12日木曜日

追憶シリーズ(4) 私たちについて




私はAuraと名乗っていますが、それは私の全てではありません。

私は区分けされた自分の一部としてAuraを使っているに過ぎません。もちろんそれは特別な事ではありません。たくさんの異なったシチュエーションの中で、皆が毎日やっている事です。私にとってのその恰好例が、インターネット上の人格です。私をAuraとして知っているほとんどの人は私の「実生活」を知らず、私が実生活で接するほとんどの人はAuraが誰かを知りません。私のツイッターを見て下さい。あれは、私ではなく、Auraのものです。フォロワー達はそこの私をAuraと見ているのであり、私はAuraとして知っている人のみをフォローしています。上のイラストを見てください。Auraはかわいいアニメ少女の顔だって持っています。これは気まぐれなアーティストたちが、私には萌えがふさわしいと考えた結果なのですが。

アイデンティティの事と、「個人」から「人格」を切り離すという事、これらを考えてみるのもなかなか面白いものです。このプロジェクトのために、世界中から、異なる人生を歩んできたたくさんの人が結集しました。そんな私たちは、ネット上のまとまりのない集合体でなく、お互いに慣れ、協力し、そして一つのチームとして溶け込んでいく必要がありました。こうしたいきさつの中、本当にたくさんの出来事がありました。

私たちは卒業し、あるいは入学し、新しい仕事を見つけ、あるいは現職で出世したりしました。最年少のメンバーは成長し、最年長のメンバーはさらに歳を取りました。恋に落ちたりも、恋に破れたりもしました。新しい友達ができ、あるいは結婚し、子供が生まれました。巡る季節を見て、誕生日や、クリスマス、新年を祝ってきました。

その間シナリオも書いてきたし、CGも描き、作曲もし、プログラムも書いてきました。様々な激論を交わし、体系化していきました。ケンカをし、仲直りをしました。去る者もいれば、来る者もいました。一区切りついた時やリリースの時ごとに祝い、停滞を心配し、進展を追い、いついかなる時も前に歩みを進めてきました。

5年の間、私たちは平行人生を生きてきたのです。私たちはこれらの経験をお互いに一部分だけ共有し、そしてまたKSで得た経験を一部分だけ実生活の友人たちと共有してきました。今でも私たちの二つの人生は並行したままです。4LSでの活動は私の人生の一部ではありますが、それでも、それとは違う何か別のものなのです。他のメンバーたちもそうなのかどうか、ちょっと判りませんが。

では、Four Leaf Studiosとは、私が5年の月日を共にし、こうした出来事を共に過ごしてきた人たちとは、一体誰なのでしょう? 私たちは旧来自分の事を多く語らず、スポットライトを浴びる事からも避けてきました。私も本当はよく知らないのかもしれませんが、彼らに対するいくつかの印象をここでシェアする事はできます。

Hivemindは凡人と秀才の両気質を備えた面白い人です。彼はいつも砕けた雰囲気を持っていましたが、時々知的な面を発露し、私たちを最も興味深い議論へと引き込んだものです。彼の文章スタイルは4LSの中でも最もユニークで、それが問題を引き起こすのではと恐れた事もありましたが、最終的にはちゃんとまとまりました。Hivemindは編集チーフのSilentcookと最も仲の良かったライターですが、きっとそれは彼がSCを絶えず不適切に煽ったりという事をしなかった唯一の人物だからでしょう。

Surikoは時折、プロジェクトの全責任を負いました。彼はどんな時でもプロジェクトの成功を全てに優先し、他に誰もやれなかった時には、最終的にはSurikoが私たちを取りまとめてきました。彼はシャイかつロマンチックで(女性注目!)私たちが彼に使えると思うありとあらゆるネタに関してよくからかいの対象になったりもしましたが、彼はまた正直で自分をしっかり持った信頼の置ける人物であり、そして絶対にあきらめない人です。

A22は本当に、本当に賢い人です。ですがまた非常に好戦的でもあり、強迫観念にとらわれやすく、彼との会話自体もしばし苦慮の元となりました。ライターとしての彼は言ってみれば言葉の彫刻家であり、文章を完璧に気に入るまで注意深く推敲を重ねます。それは時に膨大な時間を要しました。彼とmoekkiのライター、アーティスト関係は波乱に満ちていて、時にはそれがバカバカしいほど行き過ぎたりもしましたが、例えば時々グラフィックの方がシナリオを指図したり(他のペアは逆です)といった事もありました。彼らの友情については私はもう別に理解したくもありません。

Cpl_crudは私やA22とは全く反対のタイプのライターです。彼は極端に直観的で簡単に「フロー」に乗るタイプですが、時に苛立たしいほどに軽率で不注意です。それでも、彼との活動はものすごく刺激的でした。Crudのボキャブラリーは笑ってしまうぐらい多く、そんな語彙の使用を彼は躊躇しません。どれくらいかというと、彼は時折1800年代のビクトリア朝時代の英語で文章を書くので、(4LSでよく行われる、総掛かりで相手をバカにする手順を使って)2000年代のアメリカ英語で書くよう仕向けないといけませんでした。(Surikoにも同じ悪癖があります。4LSのオーストラリア人ライターはみんな問題があるみたいですね)

Silentcookはライターチームの中の常識家。少なくとも彼はそう思いたいでしょう。確かに、スタッフが野心的すぎるアイデアやできそうもない計画を持ち始めた時には彼がそれを落ち着かせました。そのために時には暴力的な脅しを用いたりもしましたが。それは置いておくとして、彼の仕事は機械的といえるものでした。スタッフの誰一人としてSilentcookの処理能力や作品の質について心配する必要がなかったのですが、それはこの類いのプロジェクトには非常に重要なことでした。

Deltaは全てのスタッフからたくさんの成果を要求しましたが、彼自身にも最大限の要求を課していました。問題は、彼は実現不可能に思える仕事を次々こなしていったものの、私たちがいつも同様にできたわけではなかった事です。Deltaは主義を重んじる人でとんでもなく強情であり、彼との議論で誰もがへとへとになるため、誰も彼の逆鱗に触れようとはしませんでした。ですがDeltaは洞察力もあり、彼がKSを最高の作品にするために必要なたくさんの要素の真の原動力だったのです。彼は世界で最も才能あふれるビジュアルノベル監督の一人だろうと思います。彼と私はいつも非常に仲がよく、私の持つ過去数年間の楽しい思い出たちはほとんどが彼と一緒に活動したときのものです。

Moekkiは全ての事とスタッフに対しとても心配性な人です。上手くいっていない時には彼女が最初にストレスを感じ始め、うまくいっている時も逆の発想をしてやっぱり心配しました。Moekkiは大きな心を持ち、その心すべてをプロジェクトに注いでくれました。Surikoがそうしてくれたように、いつもプロジェクトを最優先し、その他の事を後回しにしていました。Moekkiは非公式なアート指導者(間違いなく4LSで最も損な役回りです)であり、恐らく最も生産的なアーティストであり、そしてDeltaとは好対照な人物と言えるでしょう。全ての4LSスタッフの中で、彼女が間違いなく私の一番の親友です。

実生活多忙のためにkamifishは開発の大部分で一歩身を引き、本当に製作に従事するのみで、スタッフとの連絡は最小限に抑えていました。そのため、スタッフの間で彼女は実在しないのではないかという笑い話が生まれたほどです。ですが琳ルート製作の共犯者として、私はちゃんと彼女とCGイメージや琳の外見などについて画像化のために時間を費やしました。議論は驚くほどに一方通行で、私がアイデアや参考になるもの、コンセプトを意識に浮かぶままに堰を切ったように喋っている間、kamifishは辛抱強くそれを聞き、それらを明確にするために質問し、それから「できます」のような簡潔な一言で議論を終えます。それは決断がなされたことを意味し、彼女は描画作業に移るのですが、時にそれは12時間以上に及ぶ狂気のマラソン仕事になる事もありました。

Raideの好奇心と勤勉さは留まるところを知りません。彼は何でもかんでも学ぶことを望み、情報ソースや確認、さらなる情報を得るための調査を常に怠りません。彼は膨大な事柄について常に追い続け、4LSの外のたくさんの事柄にも興味の対象を向けます。彼がどうやって時間を作り、それらすべての活動に集中できるのか、私にはさっぱり分かりません。4LS全体としては控えめである事を好んでいますが、Raideは時々その事を、他のたくさんの事柄に対してもそうであるように、真剣にとらえ過ぎたりします。

Pimmyは4LSの良心です。彼女は私たちが時折お互いに向けるバカな態度を全く許容せず、争いを非常に嫌います。彼女は皆が友人同士であればとただ一心に望み、そのため私たちを見て腹が立つような事もあったはずです。不安と駄々こねに陥りやすく、エリート主義者たちからたくさんの非難を浴びせられるようなテイストを持ったPimmyは、自身の「内なる子供」に最も近しい人物です。Pimmyが成長したとき、彼女は魔法の国のお姫様になるでしょう。


Weeeは大きく成長しました。これが彼女に関して思いついた最初の事というのも変なのですが、しかし彼女は本当に、性格も才能も、彼女が14歳の若さで4LSに参加したときから目を見張るほどに成長しました。weeeに関し他の注目すべき点は、彼女のアートへの驚くほどの情熱です。あなたは絵を描くのが上手くなりたいと思いますか? もしそう思うなら、weeeのやったことを真似てください。毎日2時間、5年間、絵を描き続けてください。

Climaticは4LS公式のへそ曲がりです。彼はほとんど全ての議論において私たちへの反論を試みてきました。そうしなかった時でも、どんな事柄に対する楽観や熱心さの表明にも、れが慎重に表明されたものであっても、彼は容赦なく嘲笑を浴びせかけたりしました。
もちろん彼は、よい面でも悪い面でも、アーティストチームの中の真のアーティストでもあります。

Mike Inelはプロフェッショナルです。彼は常識外れなまでの労働倫理と、絶える事のない熱心さと野心を持ち合わせています。彼にとって、難しすぎる提案などありませんでした。彼はどの提案も喜んでやっただけでなく、それにほんの少し演出を加え、いつも提案のさらにワンランク上を目指していました。Mikeは少し人が良すぎる性格の持ち主で、彼は4LSの他のスタッフ皆を「サー」や「マーム」と呼んでいます。

KagamiはSilentcookの手下で、恐らくこの関係が4LS内唯一の直接的な上下関係でしょう。彼は控えめで静かですが、(よい編集者に求められるように)注意深く、そしてほとんど話さないため、思いもよらないとても鋭い批評を思いつく性質を持っています。

「才能を与えられた」と呼ばれる人たちは、傑出した事を何の努力もなくこなしてしまいますよね? それがまさにNicolです。彼に対しほんの数語を用いて描写し、2時間与えれば、本当に素晴らしい曲を作曲してくれます。彼は数年にわたりとても生産的で、OELVN界隈の複数のプロジェクトを渡り歩き、膨大な数の曲とサウンドトラックを生み出してきました(そのため彼は嘲笑的に「自転車」と呼ばれています)。Nicolはイライラしているのが好きですが、実際はいい人で、賢いです。

Yujoviは4LSの傭兵です。kamifishと同類のような人で、必要な時に現れ、要求された仕事をこなし、そして去って行きます。女性たちとのアバンチュール(あるいは災難)、それに私たちが必要とするほとんど全ての背景画像の場所を探し出す不思議な能力の持ち主として、彼は永遠に記憶される事でしょう。

そして、そう、私です。

- Aura

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