2010年12月25日土曜日

SS翻訳 「甘美な声」

クリスマス企画というわけではありませんが、SSの翻訳ができあがりましたのでお知らせします。

今回はSilentcook氏による作品です。
ある日の久夫とミーシャの逢瀬を描きます。

Silentcook氏はリリーの担当ですが、ミーシャ担当のA22氏もその出来に脱帽したとのこと。
本編にはミーシャルートはありませんが、見事な本歌取りの出来映えをお楽しみください。

成人向けの内容を含むため、フォーラムに投稿しています
よろしければご覧ください。

2010年12月24日金曜日

メリークリスマス!


Four Leaf Studiosよりすべての皆さんへ、メリークリスマス!

内紛

(訳注:遅くなりましたが、英語ブログ2010/11/24分の記事です。)

ビジュアルノベルの作成は戦いである。ここ4LSでは、文字通り、そして比喩的にも、しばしばこれが成り立つ。私たちの中には、共同作業を行おうとするといつも互いにけんかを始める三つの派閥がある。ライティング、イラスト、そしてディレクションだ。その理由は、VNはリソース管理のゲームであり、負けないようにプレーする唯一の方法はプレーしないこと以外にないからだ。ビジュアルノベルは本質的に、私たちが「資産(asset)」と呼ぶ部品の集まりを、プログラムの魔術によって一つに組み合わせたものだ。作るのがもっとも「高価」であるという理由から、イラストは有限なリソースとして扱われる。VNは多くの場合、イラスト資源を節約するという思想の元に作られる。可能な限り再利用し、できうるときはズルをするのである。作業をする際は、誰もがイラストの有限性を考慮しなくてはいけない。

そのため、KSのようなVNの基本構造は二人(あるいはそれ以上)の人物の会話、そして主人公のモノローグだ。これらは低コストで映像化することができる。キャラクターの立ち絵と背景があればおしまいだ。しかしこれら以外の何かが発生した場合(たとえば、二人のキャラクターがキスをする)、解決しなければいけない問題が発生する。ゲームスクリプトの一行一行をビジュアル化しなくてはいけない。そのため個別の解決策を考え出す作業はディレクターに委ねられる。ディレクターは問題を回避し、キスシーンを読者の想像に任せるか(手抜き)、または既存のイラスト資源を駆使してキスの表現をひねり出すか(不気味)、イラスト担当にキスシーンの絵を描くよう依頼するか(高価)、またはライターに本当にキスシーンが必要なのか考え直すよう頼む(難儀)ことができる。

リソース節約的な映像化によって、興味深い問題がVNのライターに突きつけられる。ある種の物語の説明文を使うことを避け、会話と主人公の「内的モノローグ」を多用しなくてはいけないのだ。経験の少ないライターとして言うと、私はこの制限は非常に解決が困難だと感じた。多くの場合、私自身、ディレクター、イラストレーターのどれか、あるいは全員がこの問題のために不愉快な思いをした。

さて、ディレクションとは面白さよりも機能性を重視するものだ。KS開発から例を挙げると、一部のキャラクターについてある種の衣装バリエーションを作画する際、既存の立ち絵に上書きするのではなく、ポーズも別途描き起こすことになった。イラストレーターが新しいポーズを描きたがったからだ。しかしこれはdeltaの怒りを買った。各キャラに新しい衣装が追加された場合、彼がキャラクターの雰囲気・ボディランゲージ・気分を伝えるための「言語」として使い慣れていた、表情やポーズのパレットがまるまる使えなくなってしまうためだ。同じように、イラストレーターたちはシーンやイベントについて、(ライターやディレクターに言わせれば)必ずしも必要でないイラストを描きたがることもあるだろう。これは必然的に、絵を描くのに使われるべき時間が使われないことになる。そしてもちろん、イラストレーターはとにかく不可能なことを頼まれることもある。

つまり、これは戦いなのだ。ライターはあらゆる種類の気まぐれをやりたがる。ところがその気まぐれにつきあっていろんなかっこいいことをしようとするディレクターがいる。そしてディレクターは何百万枚ものイラストをイラストレーターに依頼するが、そのイラストレーターはまるっきり異なる気まぐれな絵を描きたいと思っている。そのうちに誰かがパニック発作にかかって、チームの全員を地獄に堕ちろとののしるか、一週間の深酒に明け暮れることになる。この本質的に相容れない構図は、構成員の態度と性格、自分自身と他者を苦しめるための意欲によっていずれ自然に解決する。独創的な案を捨てる羽目になったライターか、さらに時間を奴隷労働に費やさなくてはいけないイラストレーターか、新たなビジュアル化の方法を考え出さないといけないディレクターか、あるいは映像化を回避する場合は三者全員か、いずれにしても誰かが譲らなくてはいけない。KSを作るにあたり、私たちは映像表現についてかなり高い水準を保っていると個人的に思う。つまり、余力のある限り(余力を超えることも多々あるが)、できるだけ多くのものをビジュアル化しているということだ。これを拡充するような、ある種の人的資質も揃っている。結果として、私たちはしばしば自分たちのやり方でおのれの問題を解決しているわけだ。映像表現の水準について、妥協をすることはほとんどない。通常はスクリプトを直すか、イラスト資産を増やす方を選ぶ。


さて、ここまで述べてきたやり方は唯一のVNの作り方ではない。私の意見を言うなら、結局の所いいやり方でさえない。他の様々なことがらと同じように、これは私たちがただたどり着いてしまった制作手法であり、それを守っているに過ぎない。もっと経験を積んだ、有能なチームであれば、これまで説明してきたような問題によりよく対処できたことだろう。一方私たちはどうにかやりくりして、日々このプロジェクトに骨身を削っている。少なくとも、今こうした議論が起きた場合、かつてのように破滅的な大混乱にまで至ることはない。大したもんだ。私たちだって学習するんだな。

- Aura

2010年12月22日水曜日

シークレットサンタ #12: KS 第2次世界大戦

シークレットサンタ 12日目分です。

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(左、上から)
私たちは陸軍に入隊しました

逃げても無駄だ!
節約しよう
金属 古着 紙
骨組み ゴム ガラス
これらは戦場での物資になります

地域の行政委員会に連絡しましょう

オタワ市回収局 広報部発行
国防大臣J. G. ガーディエ承認


(右から2番目、下)
俺たちならできる!

(左、上から)
生粋のドイツ人はフランス人を好まない
でもフランスのワインなら喜んで飲んでいるさ

シークレットサンタ #11: 健二と琳の言い争い

シークレットサンタ 11日目分です。

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2010年12月18日土曜日

シークレットサンタ #8: KS赤ん坊

シークレットサンタ 8日目分です。

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2010年12月14日火曜日

シークレットサンタ #4: KS戦隊

シークレットサンタ 4日目分です。

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シークレットサンタ #2: 山久学園天文部

シークレットサンタ 2日目分です。

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「さぁ、みんな用意はいい?」
普段なら、何もない屋上に私の声が響く。でも今日は ――この2週間に一度の催しがある日は―― 望遠鏡やカメラ、スープやコーヒーの入った水筒の用意に忙しくしている、この6人の生徒の耳に届く。
 
いっせいに同意の声が周りの生徒たちから上がったが、みんなまだ、それぞれの作業に気をとられていた。ほんの数ヶ月前は、周りで様子を見ていると言うよりは手伝ってばかりだったが、今では私が手伝わなくても、彼ら自身で完璧にことをこなしているのだ。
 
静かだが冷たいそよ風が、夜が深まるにつれて寒さが増していくことを思わせた。私はポケットから使い慣れたカードボックスと銀のライターをさっと引き抜いた。ボックスから煙草を押し出すと、口の先に咥えたままライターの蓋をはじき、先端に火をかざした。数年の合間に、この仕草がすっかり癖となっている。
 
空気が風でだるそうに揺らめくと、唇から細く登る煙がそれに合わせて揺れる。私はもう一度生徒たちを見回す。
 
集まった天文部の生徒の一団の中には、3年3組から潜り込んできたものもいる。写真部員でもあるミサキは、夜空を写真に収めるために、この観測会への参加を希望した。反対する理由もなく私は彼女の参加を承諾した。それで今彼女は、ほかのみんなと少し離れたところでカメラを三脚に取り付けている。


  

アキコはいつものように、望遠鏡を誰よりも先に覗かせてもらえるよう触れ回っている。彼女は半身マヒで体が弱いが、驚くほど誠実で素直な人柄だ。実際そのおかげで、彼女はケイからも慕われている。ケイはいつにもまして、一言も発することなく彼女の世話をしている。2人とも(特にケイはそうだが)本当に熱心で思いやりがあるようで、入学したときからずっと天文部の一員だ。
 
マサトとサユリは、望遠鏡を覗く番を待つ間おしゃべりをしながら、てんでにスープやコーヒーをすすっている。体つきがよく、健康そのものなマサトは、その連れを除けば、誰に対しても堂々としている。そのスポーツ狩りの頭と習慣のように帽子を被っている姿を加えると、むしろ陸上部のほうが合っているようにも見える。でも、その評価は大きな誤りだ。彼はスポーツよりも学問的なことに興味を抱いているのだ。そして単に自分の健康に最大限気を使っているだけのことだ。
 
サユリは単純に、女版マサトとでも言える。彼女もまた、体格が良く、マサトと日々の運動をしている姿がよく見られる。
2人の性格は際立って似ているとはいえ、彼らの無感動な生活態度は、すぐ何をするにもやる気がないなどと誤解される。私は最初、彼らはもっと恋愛関係にあるのかと思っていたが、彼らはお互いを恋愛対象ではなく兄弟姉妹、あるいは単に兄弟とみなしているようだ。
 
この2人は今年天文部に入ったばかりだが、私が期待していたような新入部員とはちょっと違っていた。彼らのような生徒が入ってくることは全く予想していなかった、というと嘘になるだろう。
 

 
集まった生徒の最後の一人は、ドアの近くのパイプの上に一人で腰掛けている少女で、毎回この観測会に来ている。平均的な背丈に、長く黒い髪、そして柔らかな表情で、静かに座りっていて、身じろぎ一つしない。この子は今日、望遠鏡をのぞき込むことはしない。これまで一度も使ったことがない。
 
アオイはいつも私に謎めいた何かを投げかける。私は彼女のクラス、3年2組を教えているが、彼女は必要以上の注意を向けられることを上手く避けている。ある日彼女が授業のあとに私のところに来て、私が顧問を務める天文部に入れないかと尋ねてくるまでは。
 
今はもう、みんなそれぞれの活動に落ち着いている。そこで最後の煙を一吐きして、私はアオイのもとへ行く。
 
アオイは目の見える人よりもはるかに耳がいい。私のクラスの生徒、つまり盲や弱視の生徒にも同じことが言える。
彼女は静かな夜の空気から簡単に私の足音を聞き取り、その顔を私がいると思う場所へ正確に向けてくる。
 
私は彼女の傍らに腰を下ろすと、後ろに寄りかかる。しばらく立ちっぱなしだったので、ようやく休憩ができて気分がいい。旨い煙草を手にして座り、満天の星空を見上げる。周りの空気は冷えているが、寒すぎることもなく、かすかな湿気も感じられる……すばらしい気分だ。
 
時間が経つと、私はあることに気づき、すばやく煙草を口から離した。
 
「ああ、ごめんなさい」 私は意気消沈して言う。 「煙草の煙、におったでしょ?」
 
驚いたことにアオイはかぶりを振った。
 
「いえ、気にしてませんよ、ミヤギ先生。どうぞ吸ってください」
 
他に何も言わず、煙草はもとのあるべき場所に、唇の間に戻った。
 
「目の見えない子は臭いを嫌うものだから、あなたがそうでなくてちょっと驚いたわ」
 
「私にとっては……落ち着く匂いなんです」
 
「まさかあなた、吸ったりしてないでしょうね?」
 
「ええ、もちろん」 即答して、頭を振りながら強調した。「私じゃありません。父が同じ銘柄を吸っていたんです」
 
「あら? なんの銘柄だったかしら?」
 
「ラッキーストライクですよね」
 
「ちぇっ」
 
尻尾をつかめると思ったのだが。このくらいにしておこう。話していると、ミサキがイラついたように頭をかきながら、カメラに手を焼いているのに気づく。
 
「カワナさん、大丈夫? 何かあったみたいだけど」
 
「調節してるだけですよ! 気にしないでください」
 
「分かったわ」
 
私は不快な煙を吐き出すと、もう一度後ろに寄りかかった。手を差し伸べようとしても、彼らは私を必要としていない。人生そんなもんね。
 
「今年は人があまり入りませんでしたね。天文部がそれでも続いていくなんて驚きです」
 
「まあね、この学園に天文部があるのはちょっとした伝統みたいなものよ。天文部ができたのは学校が創立したときまで遡るのよ。文芸部と同じくらい替わりがないし、もし私が顧問をしていなくても、武藤先生が飛び込んできて、どっちみち存続させたと思うわ」
 
「正直に言うと、武藤先生のほうが天文部にはあっていると思います。あの人、化学の先生だし、やっぱり、英語の先生よりは」
 
「あの人とは一度顧問の座をかけてやりあったのよ。本当よ?」
 
「それで、勝ったんですか?」
 
「まあ今は私が顧問をしているから、そうなんでしょうね。私はいざとなったら自分のやりたいようにやるたちだから」
 
「じゃあ、どうしてそこまでやりあおうと思ったんですか? 何か天文学に思い入れがあったんでしょうね」
 
私は煙草を口から離すと、夜空にかざした。
 
 
「だって、星って煙草の先の火みたいだと思わない?」
 
「なんだか、先生なら絶対そう言うと思いましたよ」
 
「ちょっと、それが教師に言うこと?」
 
私は彼女の後ろ頭を小突くと、彼女はいたずらっぽくクスクスと笑い、笑みを浮かべた。彼女は何事にも快活なタイプでなかったので、私はそれを個人的な勝ちということにしておいた。
 
「先生だって、それが生徒の扱い方ですか?」
 
それからしばらく、私たちは無言で座っていた。私が星空を見上げているあいだ、彼女はほかの生徒たちに耳を傾けている。
 
 
「天体観測って、私の家族の伝統みたいなものなの。祖父も同じように星を見てた。父も。そして今は私も」
 
「周りの子供がみんな、一寸法師とか桃太郎を読んでいたころ、私はウミヘビ座とかやぎ座にまつわる神話を見聞きしたものよ。父と私は夜になると、いつも家の近くの丘で望遠鏡を覗いたわ。それで、父は子供のころテレビで見た、人類最初の月面着陸のことを話してくれた」
 
「でもこれは趣味にしておきたかったから、天文学者とか天体物理学者にはならないことにしたけどね。
そうすることで私なりに星を見るのを趣味としていられる。ほかの人と体験を共有できる」
 
「天体観測って先生にとって特別なことなんですね」彼女がやけに真面目に言うので、私はやや呆気にとられた。
 
「まあね。そのことには感謝もしてるわ」
 
「北極星とかポルックス(訳注、双子座の恒星)みたいな星、オリオン座とか小熊座みたいな星座、それにまつわるすべての神話……みんな私にとっては家宝よ。いつか、私の子供たちにも語り継ぎたいものね」
 
私ははにかんで、夢想から目を醒まそうと含み笑いする。「ふふ、なんか感傷的だったかもね」
 
「いいことですよ。そういう大切なものをもっているって」
 
「それで、あなたはどうなの? 目の見えない子が天体観測に興味があるとは思ってなかったけど」
 
「星を見ること自体が目的ではないんです。ただ……この雰囲気を楽しみたいんです」
 
「え?」
 
「私は夜が好きなんです。生き物の静かな声と、空気の匂い、かすかな湿気……落ち着きます。他の誰かと一緒ならなおさら」
 
「へぇ……」
 
「どうかしました?」
 
「私、あなたをシャイなタイプだって思ってた。教室だといつも静かで、他の子ともそんなに話さないし。でも無愛想な訳じゃない。いつも会話の輪とか集まりの縁にいて、中を覗いてる」
 
「私はただ他の人がそこにいるのを楽しんでるんです。変ですか?」
 
私は少し考えた。そういう子を知ったのは彼女が最初じゃない。だから変ではないだろう。私の答えは、私が思ったように簡単なものだった。

「全然」  
 
 
私たちの会話は途切れ、お互いへの疑問は解決したが、他の子たちのおしゃべりは続いている。それから長いあいだ、私たちは隣りあって座り、ただただ夜の静寂を楽しむ。その間、夜空は私たちをずっと見守っている。  
 

2010年12月11日土曜日

ミーシャBOTのメイキング



私たちのtwitterをフォローしている方はもう気づいていると思うけど、メインのアカウントから自動生成のspamツイートを避けるために、Mishimmie専用のtwitterアカウントを立ち上げた。MishimmieのtwitterはミーシャBOTが生成したツイートのみとなる。なのでMishimmieの更新をチェックしたい方だけフォローするようにしてください。それ以外では私たちはあまりtwitterをアクティブに使っていなかったけど、Deltaがもう少しアクティブにツイートするかもと言っている。私もそうするかもしれない。成り行き次第ってことで。

-Aura

2010年12月10日金曜日

シークレットサンタ2010




今年もこの時期がやってまいりました。今回で3回目になりますが、クリスマスを迎えるにあたり、4LS(とIRCの常連数名)が集まって、かたわ少女シークレットサンタを開催します。これまでと同様、各参加者はそれぞれプレゼントのお願いを一つ出し、そしてランダムに割り当てられたお願いを実行しなくてはいけません。「イラストオンリー」というルールにより、私たちライターも自ら恥をかく機会を得るわけですが、それもこのお祭り気分の一部なのです。

今年はmoekkiがたくさんの(^ω^)こんな顔文字を添えて進行を担当します。deltaはサンタさんの小さなお手伝いとして、新しいシークレットサンタの特別サイトを作るという大活躍をしてくれました。プレゼントはこちらの特別サイトで一日一つずつ、クリスマスの日までグリニッジ標準時の午前8時(訳注:日本時間午後5時)に公開されます。今年のイベントを皆さんが楽しんでくれることを願っています。

- Aura

(訳注:一つ前の記事の訳はもうしばらくお待ちください。)

シークレットサンタ #1: ミーシャのラプンツェル

シークレットサンタ企画について、文章ベースのものを適宜開発ブログで翻訳していきます。

こちらは1日目分です。フルサイズの画像は下をクリックして表示してください。

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